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​遺言・遺産分割

   遺言には、①公正証書遺言、②自筆証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があります。

​公正証書遺言

​公正証書遺言書は、公証人という専門家が作成するので、遺言書が無効となることはほとんどありません。また、第三者である公証人が携わる為、①信ぴょう性も高く遺言書の形式不備も少なく原本は、公証役場で保管されるので、偽造・紛失してしまうリスクを最小限にすることができます。その為、自筆証書遺言書のようにその信ぴょう性が裁判で争われることもほとんどなく、家庭裁判所での検認手続きも不要で、そのまま遺言書の内容を執行することができます。相続のトラブルを避けるという点では、他の遺言の方法よりは遺言の内容をより確実に実現することができます。

​※1

​※2

※1 公証人は、国家公務員法上の公務員ではありませんが、公証人は国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず,国が定めた手数料収入によって事務を運営しており,独立の事業者であることから,手数料制の公務員とも言われています。

※2 検認とは、家庭裁判所で行う、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

一家団欒

公正証書遺言を作成する際のデメリットとして、公証役場に出向く必要があります(体力的に公証役場まで行けない場合には、場所を指定して公証人に来てもらうこともできます)。
そして、遺言を残したい人が遺言の内容を公証人に口述で伝え、公証人はその口述内容をもとに書面を作成します。

公証人が書面にした遺言の内容を確認する時には証人が2人以上必要となるので、公証人及び証人に知られてしまう点や、費用や手間が他の遺言よりかかる点がデメリットとして上げられます。

​自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書の内容、日付、名前まですべて自筆で書いて印を押して作成する遺言書のことです。
法改正により平成31年1月13から財産の内容を示す「財産目録」については、パソコンで作成することが認められるようになりましたが、それ以外の部分については自筆で作成しなければなりません。
その為、自筆すべき所をパソコンで作成されたりしていると無効になってしまいます。

 

そして、その他の問題点として自筆証書遺言は自宅で保管されることが多く、偽造・変造の恐れがあるため、相続発生後に遺言書そのものが発見されずに終わってしまうというリスクがありました。

また、家庭裁判所での検認の手続きも必要であり、公正証書遺言よりもその信ぴょう性が裁判で争われるケースが多くあり、相続発生後の手続きが煩雑で手続きがかかるというデメリットもあり、このようなデメリットを解消しようと令和2年7月10日から「自筆証書遺言書の保管制度」が創設されることになりました。
この制度によって、法務局で自筆証書遺言を保管してもらうことも可能になり、紛失のリスク等が減少するとともに法務局で保管してもらう自筆証書遺言については、裁判所で検認の手続きが不要となり。以前より自筆証書遺言の制度が利用しやすくなりました。

勉強中の学生

​秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、封筒に入れて封印した遺言書を、遺言者が公証役場へもっていき、その遺言書が確かに本人によって作成されたものであるということを、公証人と2人以上の証人によって証明してもらうものです。封印した状態でもっていくので遺言の内容を誰にも知られないというメリットがあります。
他の遺言と異なる点として、
公正証書遺言は公証人に作成してもらいますが、秘密証書遺言は公証人が作成されたものではなく「本人の意思によって作成したものである」ということを証明してもらうに過ぎないという点で異なります。また、秘密証書遺言は他人による代筆やワープロでも構わないという点で、自筆証書遺言とも異なります。

​遺留分

被相続人(亡くなった方)は、自身の財産を誰に与えるかは遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。
・遺留分を有する者は、配偶者、子(代襲相続人も含む)、直系尊属(被相続人の父母、祖父母)であり、兄弟姉妹は遺留分を有しません。
・遺留分の相続財産に対する割合は、誰が相続人になるかによって異なり、遺留分を有する相続人が複数いる場合は、遺留分を法定相続分により分け合うことになります。​

(1)配偶者のみが相続人の場合 2分の1  
(2)子のみが相続人の場合 2分の1 
(3)直系尊属(父母、祖父母)のみが相続人の場合 3分の1  
(4)兄弟姉妹のみが相続人の場合 遺留分なし  
(5)配偶者と子が相続人の場合 配偶者が4分の1、子が4分の1  
(6)配偶者と父母が相続人の場合 配偶者が3分の1、父母が6分の1  
(7)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし

​遺留分侵害請求権

被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与又は遺贈し、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払いを請求することできます。

​遺産分割

遺産分割(いさんぶんかつ)とは、被相続人が遺言を残さずに死亡した場合に、一旦は相続人全員の共有財産となったものを、各相続人へ話し合いによって具体的に分配していくことを言い、相続税の申告期限は別にして、遺産分割の時期ついては決まった期限はありません
民法は、例えば、「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする」というように、抽象的に相続分の割合を定めているだけなので(民法900条)、遺産の帰属を具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議をする必要があります。
しかし、誰でも、少しでも良いものを多くと思うのが普通の為、協議がなかなかまとまらない事が良くあります、協議がまとまらない時には、家庭裁判所で、調停又は審判で解決してもらうことになりますが、必ずしも良い結果になるとは限りません。
  それに対し、遺言で、例えば、妻にはA土地と~万円、長男にはB建物と~万円、二男にはC土地と~万円、いったように具体的に決めておけば、争いがおこるリスクを最小限に抑える事ができるようになります。

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